2001年度合同冬合宿 北アルプス:爺が岳東尾根~鹿島槍ヶ岳

2001年度合同冬合宿 北アルプス:爺が岳東尾根~鹿島槍ヶ岳
一橋大学山岳部&青山学院大学山岳部
‥2001年12月23日~2001年12月30日
‥中尾・山田・井上・鳥本・米澤
鹿島槍ヶ岳は北アルプスを代表する山の一つ。北峰(2842m)と南峰(2889m)の綺麗な双耳峰となっており、北壁、荒沢奥壁、北俣本谷など豊富な積雪期バリエーションルートを有す。北壁はポスターなどでよく目にするほど綺麗な壁で鑑賞としても登攀対象としても存分に楽しませてくれる。

■記録

■12月23日
昼に一橋大の国立部室に集まり、パッキングを行う。その後、新宿に移動して在京部員、OBの方々から各々。クリスマスケーキ、その他差し入れを頂き急行アルプスに乗り込む。このときはクリスマス寒波が来そうだと言うことで少し不安があった。急行アルプスは三連休の中日ということもあってかガラガラであったが、スキーの団体客と車内放送をテープレコーダーに録音する「鉄ちゃん」中学生と同じ車両に乗り込み、それなりに騒がしかった。
■12月24日 快晴->晴れ時々雪
7:30 鹿島山荘 -> 13:15 JP -> 15:00 P3
騒がしい連中はみな、松本で降りる。隣の車両に乗っていた東海大学の4人は私たちと同じ爺が岳東尾根パーティーと鹿島東尾根パーティーに分かれるらしい。信濃大町駅近くにあったコンビニはつぶれているらしく、タクシーで途中の国道沿いのコンビにによってから鹿島山荘にむかう。鹿島山荘では先に到着していた東海大学パーティーがいて、先に準備をすませて出発してしまった。ワカンを履いて出発すると、すでにトレースがついているが、そのトレースは10月の時の偵察とは違って、斜面をいきなり直登していたので、新たにひざ下のラッセルをしながら偵察通りに沢沿いに進む。途中の斜面に雪がうまくついていないらしく1年生は苦労していたが根性でワカンで登る。小稜線にでるとトレースが合流してきて、すこし楽になるはずであったが、あまりペースが上がらない。JP前で他パーティーのテン場跡を通り過ぎ、ようやく3時ごろにP3に到着。隣には東海大学が張っていた。天気はよく、P3からは鹿島槍もしっかり見える。

■12月25日 晴れ
4:30 起床 -> 7;05 発 -> 9:10 P2 -> 10:30 P1 -> 11:30 2500△ -> 14:35 偵察 -> 15:35 帰幕
今日も天気がいい。しかし、どうも出発が遅い。今日もまた隣の東海大学パーティーに先をこされてしまう。東海大学のトレースをおってワカンでP2直下までいく。そこからアイゼンに履き替える。天候もよく風もない。そしてトレースがばっちりという状況下でP2のナイフリッジを迎える。この好条件下において、確かに一箇所、木が出ているところがあってそこで長スリングを連結させてお助け紐をだしたが、その他は全くザイルをだす雰囲気もなく、難なく通過。P1直下のほかパーティーのテンバをすぎてようやくP1で東海大学においつく。ここで、加工地点の角度を確認してさらに上部の幕営場所を探しに赤旗をさしながら登る。2500m地点でよい場所がみつかり、そこを整地しブロックを積み、夜警を見ながら用を足したいという米澤のためにトイレも作って、明日の悪天に備える。14時頃すべての準備が終わったので、中尾と米澤は爺が岳に向かって偵察に行き、山田と井上は弱層テストと水作り。鳥本は一人ひたすらアイゼンとワカンを履くのがおそいので、早く履けるように訓練させる。この夜のハヤシライスは美味かった。

■12月26日 雪
7:00 起床 -> 10:10 発 -> 11:45 帰幕
昨日の予想とおり、天気が悪い。5時起床のい予定だったが雪がふっているということで、早速停滞モード。5時半のい天気図をを短波放送で書いて、みなは7時に起床。昨日積み上げたブロックは西側に積み上げたが、風は南から東方向で舞っているので、テントラッセルに向かう。昨晩からの積雪はおよそ20cm。その愛第二京か下山日まで続くマルタイラーメン1日目を丁寧に作る。視界は50m程であるが風は強くないので、皆で偵察にいくことにする。ひざ上にラッセルでテントから150mほど進んだ斜面で弱層テストをやってっみる。すると、風雪ともに強くなってきたので引き上げる。テントに戻ったら早速テントの周りを20cmほど掘り下げる。あまり積雪はないが頻繁にテントラッセルとする中、ポップコーンをつくることにする。マーガリンをわすれたので、マルタイラーメンの調理油をつかって見事に作り上げる。多少風味はたりなかっがた・・・。中尾はなぜか留守番電話に大町警察署から電話がある。『情熱と冷静のあいだBlue』をよんでいた米澤はしっかり自分が順正になりきっていた。

■12月27日 雪のち曇り
4:00 起床 -> 7:00 発 -> 8:15 爺が岳 -> 10:50 冷池 -> 14:30 偵察 -> 15:35 帰幕
今日もマルタイ。もちろん、ポップコーンのために調味料を少し抜く。天気がよくなるであろうという予想で出発することにする。準備が早すぎて少し待機してから出発。昨日つけたトレースも消えている。ワカンを履いて膝上のラッセルからスタート。爺が岳直下でアイゼンに履き替え、爺が岳頂上。東尾根上はそれほど風は強くなかったが、爺が岳頂上に立ってみるとものすごく風が強い。爺が岳頂上にテントを張っている東海大学の蔵元さんがわざわざでてきてくれて、写真をとってもらう。もちろん、何も見えない。東海大学は鹿島槍にむかわずにそのままおりてしまうらしい。東海大学の別のパーティーは燃料も食料もないほかのパーティ0からいっしょに下山してほしいと言われているらしい。寒いので、アイゼンで視界が50m程しかない状況したで冷池山荘を目指す。ほのかにわかる夏道をたどると途中樹林帯になる。そこでラッセルとなり、時間がかかる。赤岩の頭に赤旗をたてて身長に下る。冷乗越からの上り返しは腰ほどのラッセルできつかったが、根性で冷池池山荘の冬季小屋に入る。その中にテントを立てるとそのスペースは一杯だった。すくしゆっくりしてから、中尾と米澤は鹿島槍方面に向かって偵察に行く。冬季小屋内はラジオの電波が悪く天気図を書くにも入り口まで行かなければ聞こえないが、なんとか書く。

■12月28日 雪
6:10 起床 -> 8:00 発 -> 9:50 布引岳直下 -> 11:00 山荘
今日もマルタイ。風は弱いからとりあえずいけるところまで行くことにする。ワカンで、昨日のトレースをたどり、布引岳ののぼりまで行く。そこから樹林帯を抜けると風が強くなる。アイゼンに履き替えさらに進む。すると、風がさらに強くなり、ホワイトアウトとなる。斜面もスパッと切れていたのでこれ以上進むのは危ないと判断し、敗退することにする。山荘に戻って小屋内は電波が入らないので、テントを小屋から移そうかと思ったが、小屋内でもFM長野なら電波がはいることが分かり、そのままにする。

■12月29日 快晴のち晴れ
移動高がきて、天気がものすごく良い。テントを撤収して、アタック装備でアタックする。昨日のトレースが少し残っているが、それでもワカンで膝くらいのラッセルで布引岳ののぼりまで進む。そこから見ると、昨日引き換えした地点は本当にあと10mほど登れば布引岳頂上であったというところであったことが分かった。アイゼンに履き替え、信州側に張り出した雪庇に気をつけながら慎重に進む。鹿島槍の頂上へは雪庇が怖いので左から巻くように登る。8時半近くに鹿島槍の頂上に立つ。剣岳から、八方尾根、戸隠、八ヶ岳、そして遠く富士山まで一望することができる。ただ、風が強く30分ほどいてそそくさと下山に向かう。改正であまり役に立たなかった赤旗を回収しながらずっとアイゼンで冷池山荘まで進む。冬季小屋にデポしてあったアタック装備以外の装備をパッキングして今度は爺が岳の登り返し。ひそかに期待していた航続パーティーが来る気配がなく、そのため爺が岳へのトレースもないのでワカンを履いていくことにする。赤岩の頭を超えた樹林帯の膝上のラッセルに苦労するも、そこを抜けるとクラストした斜面となる。そのため、アイゼンに履き替えて爺が岳に向かう。皆、疲れながらもようやく頂上につき一休み入れる。爺が岳付近でようやく2人とすれ違い、そのため爺が岳東尾根にはばっちりトレースが着いている。トレースをアイゼンで辿り、25,6日のテンバ跡を通り抜け、P1に着く。今日は疲れたし、ここにテントを張ろうかとも思ったが、明日から天気がよくないことが予想されていて、その状況下でのP2のナイフリッジ通過よりもまだ2時半だし、またこの快晴でトレースがばっちりついた稜線をあるいた方が安全と判断し、P3までがんばることとする。予想通り、トレースのついたナイフリッジはノーザイルで通過。P3にテントを張る。P3には他に2つのテントが張ってあった。

■12月30日 雪
5:00 起床 -> 7:10 発 -> 9:20 鹿島山荘
予想通り、天気が悪い。その上、風も強く視界も悪い。やはり昨日の内にP3まで降りておいてよかった。下山に当たってはずっとトレースがついてあり、そのためJPでも間違うはずもなく、途中3パーティーにすれ違いトレースを崩して申し訳ないと思いながら難なく下山。

(文責:なかうぉ)

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