山岳部で何ができるのか?

大学山岳部で何ができるのか
大学山岳部と聞いて、皆さんはいったいどんな活動シーンを思い浮かべるのでしょうか。どこまでも続くアルプスの尾根縦走? 鋭く切れ落ちた岩場でのクライミング? それともヒマラヤの蒼い空に向かっての雪稜登攀? いずれも正解と言えるかもしれません。しかし、山の世界はもっとはるかに奥が深い。季節を変え、登り方を変え、発想を変えることによって、それこそ無限の楽しみ方が味わえるのです。
山が与えてくれるあらゆる楽しみを享受する。そのために、青山学院大学山岳部は常に「オールラウンドに山を楽しむ」ことを目標にして活動してきました。ここでは実際に、山岳部員たちがどのような山登りを行なっているのか、ご紹介しましょう。

1、縦走登山

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一般登山者にとって、あこがれの縦走路といえば槍ヶ岳から穂高連峰を結ぶキレット越えであり、西穂高岳から奥穂高岳へと連なるジャンダルム越えのコースといえるでしょう。なかでもジャンダルムは、NHKの番組で田部井淳子さんがアナウンサー氏とともに剱岳から縦走し、最後に目指したピークとして知られています。このあたりの稜線は国内最難の縦走路であり、撮影でお二人はプロガイドにロープで確保されて登っていました。一般の登山者にとっては、そのくらいの安全対策が必要な、険しい場所であることに違いありません。
しかし、学生時代に登山の基本を学び、岩登りの基礎を身につけていれば、この西穂~奥穂間はもちろん、国内の一般縦走路ならばどこでも自分の判断で登れるようになります。ガイドにたよることなく、自分の力で行きたいところに行ける。そうした自信と、知識・技術・体力を身につけられるのが山岳部の魅力のひとつです。

2、フリークライミング

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最近、人気のフリークライミング(ボルダリングも含めて)も、もちろん山岳部の守備範囲です。クライミングの技術は沢登りや雪山などを始めるときの基礎となり、今や室内ジムでのクライミング練習は欠かせません。そして「フリークライミングだけを楽しむ」というのも、ひとつの選択肢といえます。人工壁を相手に、ひたすら高難度の壁やボルダーに挑むのもいいでしょう。そこにはそれだけ深い世界が待っているからです。
OBのなかにもフリークライミングひと筋の仲間がいるので、まずはジムや岩場でレベルアップをはかりながら次の目標を探しましょう。せっかく、さまざまな登山のジャンルに精通したOB・OGが集まっているクラブなのですから、できることなら「オールラウンドな山登り」を体験していただきたい、というのが山岳部としての考えです。

3、アルパインクライミング(無雪期)

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独学ではなかなか習うことのできないのが山岳地帯でのクライミングです。室内ジムでどれだけ多くトレーニングを積んだとしても、野外の岩場には克服しなければならない危険が数多く潜んでいます。道のないアプローチの通過、岩場でのルートファインディング、スピードと確実性が要求される確保テクニック、草付き地帯の登り方、確実な懸垂下降法、等々。こうした技術や判断力は一朝一夕に身につくものではなく、経験豊かなベテラン・クライマーとともに登って経験を積むことが大切です。学生時代は、まずは先輩やOBたちとともに入門的なクラシック・ルートを数多く登り、次のステップの足がかりとしてください。

4、アルパインクライミング(残雪期)

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青山学院大学山岳部が、約半世紀以上の昔からゴールデンウイークの合宿に利用している場所が「小日向のコル」と呼ばれる白馬連峰の台地です。この季節、山は残雪におおわれ、ふだんはヤブの斜面が快適な雪の登路となって目の前に広がります。ここにベースキャンプを設けて周囲の山を登るのが、この季節の恒例行事になっています。
登る対象としては、1年生は双子尾根から杓子岳、大雪渓から白馬岳など。2年生以上になると白馬岳主稜や杓子岳東壁、白馬鑓北稜などのバリエーションルートに挑戦します。こうした経験は、のちに本格的な雪山を目指すための基礎となり、さらにヨーロッパ・アルプスやヒマラヤの高峰の登攀に向けてのトレーニングとなっているのです。ここで長時間の雪上歩行訓練を経験しておけば、ヨーロッパアルプスのモン・ブラン程度なら問題なく登れることでしょう。
日程に余裕があるときは鑓温泉(この時期は営業開始前で、コンクリートむき出しの湯船だけが雪のなかに出ています)まで出かけ、雪見風呂を楽しみます。さらに山スキーやスノーボードを使って周囲の大斜面を滑ったり、雪洞を掘ってビバーク訓練をしたり、マルチに楽しめるベースがここ、小日向のコルなのです。

5、沢登り

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沢に登路を求めて頂を目指す日本独特の登山スタイル、沢登り。これもぜひ、体験していただきたいジャンルのひとつです。次々に現われる滝を越え、青く澄んだ渕をへつり、足下を洗うように流れるナメをたどって沢の最初の一滴を過ぎると、そこは一面に広がるお花畑……。そんな世界が、道のない谷のなかに隠れているのです。そして長い沢ともなれば、イワナを釣って焚き火を囲み、瀬音を耳にしながら原始の夜を過ごします。そんなワイルドな生活を楽しめるのも沢登りの魅力でしょう。
写真は09年6月に山岳部管理の山小屋「あずさヒュッテ」をベースにして出かけた岐阜県の沢上谷(そうれだに)。初心者を連れて行くのに適した沢で、コンパクトな流程のなかに長大なナメと豪壮な滝がバランス良く現われて飽きさせません。
東京近郊でのオススメは谷川連峰。写真の西ゼンという谷は、水流が広大な一枚岩の間を静かに流れる明るい沢で、平標山の稜線へと突き上げる名渓です。
さらに北アルプスには、誰もがあこがれる黒部川上ノ廊下や、あきれるほどに美しい赤木沢などがあり、こうしたコースを自分なりに探して挑むことも充分に可能です。

6、山岳スキー

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ゲレンデを飛び出して、誰も滑っていない雪面に自分たちだけのシュプールを描く。そんな喜びを味わえるのが山岳スキーの世界です。山岳部のOB会には山スキーのベテランが何人も揃っていて、シーズン中はほぼ毎週のように誰かがどこかの山を滑っています。よく出かけているのは谷川岳や尾瀬、妙高、北アルプスの山々などですが、山岳部の山小屋「あずさヒュッテ」を使えば、手軽に焼岳や乗鞍岳を滑ることも可能です。なかでも焼岳は東面に手ごろな斜面が広がる初級者向けの山スキーコース。ゲレンデである程度滑れるようになれば、初めての人でも気軽に山スキーを楽しむことができることでしょう。さらに経験を積み、地図を読むセンスを身につけることができれば、より長大なスキー縦走(たとえば北アルプス縦断や飯豊連峰縦走、白馬岳から日本海、など)も夢ではありません。

7、冬山登山

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雪山の美しさは、実際に自分の目で見ないと理解できないものかもしれません。厳しい寒気、行く手をはばむ深い雪、雪崩や滑落の危険、不便な雪上生活など、難しさは夏の数十倍にも感じられる冬の山になぜ登山者は向かうのか。そこにはそうした苦労の末にたどり着いた者だけが見ることができる、無垢の山の姿があるからです。たっぷりと雪をまとった日本アルプスの冬山は、学生時代の最終目標に値する深い魅力を秘めているものなのです。
そして、日本の雪山で身につけた歩行技術やルートファインディング・テクニック、生活技術、体力は、海外登山のためのパスポートのようなもの。そんな雪山に一度は挑戦してみてはいかがでしょうか。

8、海外登山

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山登りを続けているうちに、「いつかはスケールの大きな海外の山へ」と考えるのは自然のなりゆき。これまでにも山岳部ではアラスカをはじめ、ヒマラヤやアンデス、ヨーロッパ・アルプスなどで活動を続けてきました。2013年にはヒマラヤの未踏峰アウトライアー東峰へ世界初登頂を果たしています。今からでも間に合う海外登山の夢。そこにむけて一歩、踏み出してみませんか?

 

得体の知れない山岳部。さて、あなたの想像していた山岳部と実際は一致してますか?

キツイ・ツライ・クサイの3Kと思われがちな山岳部ですが、そんなことはありません。Q&A形式にまとめてみましたので入部前に不安なことをチェックしてみましょう。ここに書いていないことがあればお気軽にご連絡ください。

member(アットマーク)auac.rakusaba.jp まで。
※(アットマーク)の部分は@に変えてください。

 

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