個人山行 入川谷本流 沢登り

日程:2016/6/12
メンバー:真下(院1年)、田口(2年)、杉本(1年)
場所:入川谷本流

 6月12日、青山学院大学山岳部OB会の総会の翌日。大学院1年の真下企画として、今年度初の沢登りを実施しました。参加メンバーは私の他に2年田口と1年杉本。どちらとも沢登りは初体験であった。

 当日の天気は、晴天とは言えないものの曇天に太陽がかいま見える時もあった。気温は最大でも25度程度、水は冷たく、お世辞にも沢登りに絶好とは言いがたいが、後輩たちは楽しめたようだ。

 9時に古里駅に集合し、青梅街道を奥多摩沿いに進む。古里附の橋を渡ったら、右にある採石場方面の町道で谷を詰めていく。途中で舗装がなくなるが、車が入れる程度の林道を奥に進むと、浅い渡渉をしてすぐ開けた場所にたどり着く。ここが入渓点である。この広場はキャンプの穴場であり、焚き火のあとが複数見られた。確かに簡単な水遊びも出来るのでキャンプは楽しいであろう。この広場で沢装備をつけて、さらに初心者の二人のために時間をかけて念入りに装備の確認をした。それから写真を撮って入渓した。

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沢に入るとすぐにトバの倉骨と言う美しいゴルジュに至る。様々なネット上の記録では、一番はじめの小滝が難しいとある。ルート集では向かって右側の壁をトラバースするとあるのだが、途中の一歩が遠く難しい。滝の手前には深い釜があり、滝も2mほどで寝ている、落ちたところで泳ぐことになるだけで、安全と判断。まず1年杉本がトラバースにトライするも、あえなく途中で落水。田口はそれを見て、泳いでシャワークライミングでトライ。水が冷たいので、悲鳴があがる。そして滝を直登することで難なく突破。杉本もそれに続いた。実は私は4年前、角田OBと当時の本田先輩にこの沢に連れていってもらっており、シャワークライミングの方が簡単と知っていたのだが、後輩の健闘に触発されてトラバースにトライするも、一歩が遠く、その一歩も滑ってあえなく落水した。やはり一番初めのこの滝は泳いで取り付くのが無難である。この滝を越えると小規模ながら、その中に凝縮された美しいゴルジュが続いている。迫り来る両岸の壁に挟まれた独特の薄暗い空間に、苔で緑色に彩られた岩がたたずむ。小滝の流れ落ちる音が響き、岩にも音にも包まれた不思議な空間である。今回は2人が沢登り初体験のため、積極的に水の中を攻めた。水は冷たいが、空間の美しさに後輩2人も圧倒されていた。特に田口は写真を撮るのにしばし立ち止まることが多かった。このゴルジュは徐々に開けていき、3mほどの堰堤によって終焉を迎える。

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堰堤を越えていくと沢は一旦伏流となる。水のない大きな堰堤をいくつも高巻くことになるが、すべて右岸に明瞭な踏みあとがある。この高巻きの最中にカモシカに遭遇した。非常におとなしく人を見ても逃げない様子で、草を食んでいた。結構低い位置まで降りてきていることに驚いた。堰堤をほぼ全部越えると、広い河原に出る。ここも焚き火の跡があるので、キャンプをした人がいるのだろう。ネット上でもそのような記録が見つかった。その後も涸れ沢を遡っていく。広く並木になっているところもあり、これも不思議な雰囲気を醸し出している。そうこうしているうちに、谷は狭まり、岩がごろごろしてくる。微かに水の音が聞こえてくると沢の復活は早い。水が現れるくらいには、斜度も僅かながら急になる。入川谷が進行方向左手に曲がるところの突き当たりに現れるのが布滝であった。少し登ったところで大きく落ちているのが見える。ここの時点で出発から1時間20分。準備に時間がかかったことを差し引き、積極的に沢沿いを進んでいることから考えても悪いペースではない。

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布滝を横目に見ながら、入川谷の遡行を続ける。布滝を過ぎてすぐにオキの倉骨となる。このゴルジュはそれほど狭くなくトバの倉骨と異なるが、時おり差し込む木漏れ日に照らされた沢は、なんとも言えず幻想的である。残念なことにオキの倉骨は非常に短い。そこから先は折れた作業道の木橋を越え、外道滝に至る。ここはルート図の通り右岸のガレ場を探すと、ガレ場の中頃に大きな石が載っている。あれが落ちてきたらたまったものじゃないので、少し手前のガレば場からトラバースした。二段の滝をともに高巻き、上に出る。水流に戻ってしばらく行くと、続いて銚子滝に至る。ルート図の距離感を信じてはいけないが、地形図上でもこの滝の間隔は短い。感覚的には結構あるのだが・・・。銚子滝も右岸から巻く。すぐ手前の岩場の登れそうなところを行く。最初の岩場は足場が悪く、念には念をいれてロープを出す。今年は恒例のゴールデンウィーク小川山でロープワーク指導をほぼしていない。加えてどちらも部にとって新人なのだ。予想はしていたが、セットと回収にものすごい時間がかかる。それでも後輩たちの足取りは安定して、何事もなく越える。その後はこれまでと同じ沢歩きとなる。ここまでで本来の沢の行動終了予定だったので、少し時間を心配した。

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続く速滝に至る頃には15時になっていた。4年前の山行では、ここから登山道へ直接登り詰めて終了した。地形図上の距離的には、銚子滝と速滝の距離と変わらずに沢が終了する。日が長い6月を利用して、突破を試みる。銚子滝は手前の沢との分岐から岩にとりつく。足場の狭いトラバースをすると、大きなホールドだらけの1.5m強の岩を越える。少し斜面を登るとスラブの岩場が出てくる。もちろんここは安全のためにロープを出したが、50mロープで1ピッチここまで。途中、ロープの長さが気になって声をかけると、田口「残り50m!」とのこと。まだロープ感覚がないのだろうが、先輩が1歩も動いてなかったと思ったか・・・。2ピッチ目はスラブの岩場である。沢靴ではフリクションが効かないため、スラブは難しい。しかし、小さなクラックがあるのでそれを利用すれば、簡単に突破できる。これを越えると危険箇所は終わりだが、大きな木の回りはガレていて足場が安定しない。どうにか支点を構築して引き上げに入る。この先は少し登った先の岩の裂け目から本流に戻れる。だが、この速滝の高巻きに1時間20分費やしてしまった。さすがに時間オーバーであり、そこから尾根を直登することに。そうすれば登山道に出ることを見越しての事だったが、20分ほどで作業林道に到達。そこから5分とかからず登山道に合流した。沢装備はすべてはずし、着替えを済ませて、17時に下山。18時には鳩ノ巣駅に着いた。

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今回は予定より遥かに時間をオーバーしてしまった。ロープワークの訓練が必要なのだろう。ただ、沢登り初体験を2人含むパーティーとしては上出来だったと思う。また、この谷は全域で携帯の電波がかなりよく入り、連絡を取ることが出来たことも、速滝高巻きに挑戦できた要素であった。

この沢は4年前に私がOBと先輩に連れていってもらった沢である。それを今度は私が連れていくことが出来たことに、少し感動を覚えた。こうやって山岳部が受け継がれていくことの大切さをしみじみと感じる山行きだった。