1996年度冬合宿 涸沢岳西尾根-前穂吊尾根

1996年度冬合宿 涸沢岳西尾根-前穂吊尾根
‥1996年12月23日~12月29日
‥C.L 村上 S. L 金子 余田 北原 川村

■記録

■12月23日快晴 離京
古谷が参加する予定であったがインフルエンザにかかってしまったため、参加を見送ることとなる。

■12月24日 快晴 新穂高温泉~白出沢取り付き~1600m台地
出発時間 8時30分 幕営時間 14時30分(6時間)

取り付きまでの林道は足首までのラッセルで、雪が浅かったためワカンをつけずに歩く。取り付きからは雪が深くなると考え、全員ワカンを着用する。雪の量は去年よりも少なく、所々笹が顔を覗かせている。雪の量が少ないということは計画段階である程度予想していたため、ほぼ予定通りの行動時間で歩くことができた。

■12月25日 曇りのち雪 1800m台地~2400mプラトー
出発時間 7時00分 幕営時間 10時50分(4時間)

薄っすらと残るトレースを追いながら足を進めた。所々岩交じりの尾根のためワカンとアイゼンを両方着用する。川村のペースが著しく落ちたため、金子・北原・余田を先に行かせ、村上・川村でゆっくりと歩いていく。早くついた金子は次の日の行動を楽にするためにJ,Pまでラッセルをし、トレースをつけた。(所用時間:往復1時間)

■12月26日 曇りのち晴れ
2400mプラトー~南稜J.P~F沢のコル~涸沢岳~B.C
(7:30) (8:30) (12:00) (16:00)
出発時間 7時00分 幕営時間 16時00分 (8.5時間)

7時には出発する予定であったが、ホワイトアウトしていたため稜線部が危険と判断し、天気の回復を待ってからの出発となる。昨晩の雪のため前日につけたトレースがほぼ消えてしまった。J.Pからはワカンを外し、アイゼンだけで歩く。稜線上の雪の状態は比較的よい。蒲岩をフィックスで越えたが、その必要はなかったように感じた。去年雪崩に遭った場所では、前回とった稜線より2~3m白出沢側のルートではなく、ほぼ稜線どうりにトレースをつける。このポイントは実はあまり雪屁の発達しないところである。そのため稜線を歩くのが正解であった。F沢のコルへの下りで北原がはい松の上に足場をしっかり決めなかったため、滑落しそうになったが、すぐに体勢を立て直すことができた。涸沢の登りから急に風が強くなりだしたため全体のペースが乱れた、そのため金子・北原をB.Cまで先に行かせ幕営させることにする。デポしてある燃料を回収するために冬期小屋を掘り返す。1回くらい小屋に泊まりたいという甘えから、小屋で1晩すごす。

■12月27日 すごい快晴 前穂高岳アタック
出発時間 7時00分 帰幕時間 9時50分(3時間)

天気もよく絶好のアタック日和となる。稜線は、完全にクラストしていてアイゼンが気持ちいいくらいに決まる。雪山初めての北原も確実なステップを刻み、まったく危なげなくピークを踏むことができた。明日の前穂アタックのために吊り尾根の南陵J.Pまで偵察に行く。雪が少なく状態も良いため少し安心する。

■12月28日 雪 停滞

雪が降りホワイトアウトしていたため前穂アタックをあきらめ停滞とする。雪は1日中降り続いたため、1時間おきにテントの周りの雪かきを交代で行う。(降雪量:1時間に約20cm)

■12月29日 またまたすごいいい天気 前穂アタック~下山
B. C ~奥穂高岳~前穂高岳~B.C~南稜J.P~新穂高温泉
(6:20)(6:55) (9:00)(11:30)(15:00) (17:00)  (11時間)

前日の雪がうそのように晴れ渡り、前穂アタックに挑んだ。村上・金子の2人の行動であったため快調に飛ばすことができた。吊り尾根は雪が少なくしかも大変雪の状態が安定していたため、アイゼンだけでラッセルもほとんどすることなく、アンザイレンもせずに足を進めることができた。1番の難所と思われていた南稜との分岐点では、小さな雪屁の発達していたもののその向こう側に露岩しているのが確認できたため、雪屁を崩しながら進む。最低のコルからは夏道を進まずに稜線通りに進んだ。途中には斜度50度、距離20mほどの壁のようなものがあったがキックステップで足場を固めながら楽に越えることができた。前穂のピークを踏んだのが午前9時と早い時間であったためその日のうちに下山することを決める。この日から急に社会人の人たちがわんさかと入山してきた。
帰りは高山でレンタカーを借りて富山ー親不知ー松本ー東京と下道でせっせとかえってきました。道中温泉によって楽しい年末を過ごすことができました。

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