雨天・ボッカ訓練@八ヶ岳 20220611

八ヶ岳 阿弥陀岳〜中岳〜赤岳 2022年6月11日・12日
参加者 金井、井之上、藤木、松浦

30kg以上の歩荷、テント生活、雨天時の登山、岩稜帯歩行を目標に八ヶ岳は阿弥陀岳〜中岳〜赤岳〜横岳〜硫黄岳に挑戦。難易度は高くないコースだが、30kgを背負うとなると話が変わってくる。今回は私藤木が主人公として記述した。

第一章:出発危機一髪

今回は初めて現役メンバー4人が揃って行う山行。30kg以上のガッシャを背負い、満員電車に揺られながら、新宿へ向かう。そのガッシャの大きさから、車内では周りの人からの冷たい視線を感じた。駅からバスタ新宿への道中に私は井之上と合流し、他のメンバーは時間通りに来るだろうかなどと話していると、真っ赤なレインウェアに身を包んだ金井さんが登場する。それぞれのガッシャの重さ比べをすると、井之上だけ明らかに重かった。9:15になってもテントを持っている松浦の姿は見えない。電話をしてみると、余裕のある声で、「寝過ごしました」という答えが返ってきた。時刻は9:20、出発まで10分しかない。4階から駅とバスタ新宿を繋ぐ横断歩道を見ているが、松浦はいっこうに現れない。おいおい大丈夫か。嫌な予感がしたため電話すると、焦った声の松浦が「今新宿につきました」と言う。結局彼は出発時間に間に合わなかった。ここで優しい私藤木が運転手さんと交渉し、5分の出発延長に成功。その頃、井之上と金井さんは、テントがない前提の話をしている。結局9:35に彼はギリギリ間に合った。バス中からは他の乗客からの歓喜の声。この先大丈夫だろうか、、、

第二章:美濃戸口

美濃戸口から新宿まで直通の帰りのバス料金を振り込むために銀行をなんとしても見つけなければならない。しかし、茅野駅周辺には、コンビニも銀行も見当たらない。売店のおばちゃんに尋ねてみると、近くのセブンイレブンまで徒歩20分、銀行まで5分だという。しかし、今日は土曜日、銀行は休みだという。藁にもすがる思いで、井之上と銀行に向かうと電気はついていないが、ATMのみ営業していた。無事振り込みを完了し、美濃戸口に向かうバスを待つ。バス内では、美濃戸口近くの別荘の道中である素敵なマダムと出会い、しばらく山岳部の話で盛り上がる。美濃戸口に着くと、マダムにとても美味しいパンオショコラを差し入れしていただいた。ありがとうございます。中西OBの勤めるJ&Nカフェの看板犬マロに別れを告げると、山行の開始である。入山してすぐに八ヶ岳の美しい自然に魅了された。歩いて10分ほどで30kgのキツさを思い知らされる。さぁ頑張ろう。

第三章;行者小屋

南沢経由で行者小屋に向かう。美しい自然の中を3時間半歩いて、ようやく小屋に到着した。道中には枯れ沢や清流、珍しい蘭を目にした。小屋で宿泊書を出し、しばらくすると雨が降り始め、雨天訓練にふさわしい天気になった。藤木は今回が初めてのテント張りなので、井之上に1から教えてもらった。テントの組み立ては複雑であると考えていたので、そのシンプルさと性能に驚いた。まさか棒を伸ばしたで骨組みができるとは、、、仕事の分担が上手くいかずに、必要以上に時間を要してしまったので、次からは役割分担をきちんと行うよう心がけたい。雨が降っていたため、中が少し濡れていたが、アルミシートやマットを敷くと全く気にならなかった。無事に荷物を中に入れ、各自着替えると、飯の時間である。今日のメニューは鶏肉が入ったカレーライス。まずは米を浸水させ、お湯を沸かす。井之上がガス缶の重量と燃焼時間の関係性を調べたいというので、少し手間が増えたが有益なデータが得られたと思う。具材を煮込み、ルーを多めに入れてどろどろのカレーが完成した。やはり、カレーはドロドロに尽きる。その完成度は非常に高く、あっさり完食した。片付け後、みんなで歌ったり、筋トレをしたりした。外は雨が降り気温が低いが、中は熱気で満ち溢れていた。明日のアタックに向けて早めに就寝。

第四章:阿弥陀岳

2日目4:30に起床してすぐに、朝ご飯の準備に取り掛かった。メニューは昨晩のカレーの残りを使ったカレーうどんである。味は普通であった。その後、荷物を準備し、テントを撤収した。この時にも、連携がうまくいかず、時間を要したので、あらかじめ役割分担を行うように心がけたい。そして6:00に阿弥陀岳を目指して行者小屋を出発した。前日の疲れからか、歩行スピードが遅くなっていたと思う。そして予定よりもだいぶ遅れて阿弥陀岳に到着した。時間が押していたため、稜線の隅にガッシャを置き、アタックした。初めての本格的な岩場であったため、とても怖く、チームの足を引っ張ってしまった。特に、下りの時に、かなり下まで見えるため、その高度感に足がすくんだ。今後計画されている沢登りや岩場の山行を通して、過剰な恐怖心を克服したい。

第五章:中岳

阿弥陀岳を登り切った達成感を抱きながら、その先に聳え立つ赤岳を目指して歩き始めた。中岳は、登りは歩きやすいルートであったが、下は砂利場が多かった印象だ。砂利場は滑りやすいので、足場を確認しながら進んだ。

第六章:赤岳

中岳から赤岳に続く景色は、よくパンフレットで見ていたものであった。斜面をギザギザと続く道は圧巻であった。歩いても歩いても延々に続く道に何度か心が折れそうになったが、他の登山者に負けまいとみんなで声をかけながら頂上を目指した。部活として山登りをしている以上、一般登山者に負けたくないと思うのは自然なことだ。そのような高いモチベーションも持つところに、部活で山登りをする意義があるように思う。ギザギザルートを抜け、岩場に突入すると、流石にチーム全体に疲れが見え始めた。途中ルートを間違え、危険なルートを通ってしまったことは反省するべきである。今後、同じミスが再発しないためにも、ルート確認はこまめに行うように撤退していきたい。道中、救助ヘリが真上を飛んでいった。いったい何があったのだろうか。不安感が増す。頂上付近の岩場は、阿弥陀で一度経験しているためか、比較的スムーズに進むことができた。生憎の天気で、頂上からは雲しか見えなかったが、すごく達成感を感じた。周りの登山客のザックに目を配ると、我々のガッシャよりも二回りくらい小さかった。これが普通なのであろう笑。とはいえ、重い荷物を背負っていたからこそ、達成感は大きくなったと思う。

第七章:地蔵の頭

さぁいよいよ下りである。当初の計画では、地蔵の頭を抜けて、横岳、硫黄岳までいく予定であったが、帰りのバスの時間や歩行スピード、天候を考慮して、地蔵の頭から下山することになった。休憩していた女性が、前日に、地蔵の頭付近から70代の女性が50mほど滑落したと教えてくれた。赤岳を登っている最中に見たヘリは、その女性をピックアップするためであったそうだ。これを聞き、一気に恐怖心が増す。この山行最大の緊張であった。更には、足が震え、なかなか前に進めなかった。「知らぬが仏」とうのは、まさにこのことである。最大限の注意を払いながら、一歩ずつ下った。途中、真下に降りる場所や老朽化した階段など危ない箇所がいくつかあったが、何とか降ることができた。あとは、行者小屋を通って、美濃戸口に向かうだけである。道中に、野生の鹿が目の前を横切った、川の上にかかっている細い丸太の上を器用に渡る姿に癒された。怖くはないのだろうか?などとお節介な心配をしながら、ちょっとした岩場でビビり散らかしている自分を情けなく感じた。鹿のように怖いもの知らずになりたい。

第八章:美濃戸口(帰り)

登りの時は曇り時々小雨であったが、帰りは快晴だった。そのおかげで、景色に飽きることなく、下山することができた。美濃戸口に着くと、すぐに汗だくの服を脱ぎ、新しい服に着替えた。一日風呂に入っていないだけで、ここまでも臭くなるのか。その後、アイスクリームを買って食べた。山荘の物価が高かったため、どれも安く感じた。これは山登りあるあるなのでは?行きは安さに目が眩み、中央道茅野で降りてから、茅野駅まで1時間歩き、そこから美濃口までバスに乗ったが、帰りは毎日アルペン号という美濃戸口から新宿まで直接帰ることができるバスに乗った。帰り道は渋滞していたため、予定時刻よりもだいぶ遅れて新宿に到着した。久しぶり(1日ぶり)の都会は、人が多く、騒がしかった。こんなところで毎日暮らしているのか。将来は田舎で悠々自適に暮らしたい。

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