ネパール アウトライヤー東峰 2010年9月2日~10月24日

登山隊の特徴

・東部ネパールのアプローチが長くほとんど人気(ひとけ)のないエリアの未踏の7000m峰に憧れた。
・登攀要員は60代の高年齢隊員が2名、ヒマラヤは始めての20代と30代が1名ずつの4名で最大年齢差は40歳。弱体と言える。
・1974年以来、36年ぶりのヒマラヤ遠征。
・上記のことから登攀スタイルにこだわらず、固定ロープで特に帰路の安全性を重視した。

隊の構成
隊長/岩井胤夫(OB・63歳)/本隊
登攀隊長/土田紘介(OB・66歳)/本隊
隊員/村上正幸(OB・36歳)/本隊
永田茂樹(4年生・26歳)/先発隊
小倉雅之(OB・66歳)/先発隊・ローナクまで
本田優城(1年生・20歳)/先発隊・ローナクまで

行動概略
9月2日 先発隊3名成田発。

タメルを拠点に、キャラバン中の物資調達と安全祈願。

9月10日 先発隊は諸準備を終えカトマンズ発。陸路、キャラバン出発地タプレジェンに向かう。

タプレジェンへの行程はバスであったが、最終地点間近で道路のぬかるみがひどく車が坂を登っていかない。止むなく付近の荷物運搬用のトラクターに荷物をすべて移しそれでトコトコと進んでいった。

9月14日 先発隊キャラバン開始。

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雨季であることから、連日の雨。午前中はぎりぎり曇りであったものの、午後は大雨。道が川のようになっているところもあり、急な登りでは沢登りのごとくシャワークライムで進んでいく。

9月19日 先発隊グンサ着。本隊3名成田発。

観光局でリエゾンと。

後発隊は、観光局で入山許可をこのタイミングでとっている。

9月23日 本隊グンサ着。両隊合流。
9月24日 カンバチェン

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9月26日 ローナク

高度順応のため、パンペマ(5148m)までの往復。ここからは、世界第3位のカンチェンジュンガ(8586m)がよく見える。ベースキャンプとしてよく利用されるところです。

パンペマ

9月29日 先発隊のOB小倉、1年生本田帰路につく。本隊ブロークン氷河のBC(5200m)入り。

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9月30日 上部に向け荷上げ開始。BC~ABC間にもう一つCⅠを出し、計画時のABCをC2とすることに計画変更。キャンプが一つ増える結果となった。
10月3日 体調不良の岩井隊長、シェルパのパサンカジの2名はとりあえずグンサまで下ることに。危険箇所のルート工作を兼ねシェルパ3名も途中まで同行。
10月4日 C1(5500m)建設。
10月6日 C2(5850m)建設。

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10月7日 C2からのルート工作。

6500m地点まで標高を上げる。ルート自体は急斜面ではあるが、比較的安定した雪面。トラロープのようなものをFIXして進んでいく。

10月10日 村上隊員、シェルパのダンクマの2名は1ビバークで頂上を狙い、6650mのシュルント内でツエルトビバーク。
土田登攀隊長と永田隊員は6550mより引き返し、暗闇の中をミックス壁を10ピッチの下降トラバース、そして13ピッチの懸垂下降でなんとか下部氷河上に降り立つ。先行していた永田隊員はクレバスにちょっとだけ墜落のおまけもついたが、午後9時頃に二人はC2着。

10月11日 アタック

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プラトーへ出ることのできるルートは2つ。1.左の岩壁沿いを詰めていく。ただし、露岩している部分はハングしている部分もある。2.右の雪壁をつめていいく。
左の岩壁下部に取りついてはみたものの、右のルートに比べて難易度が高そうなことから、右の雪壁を選択。ビバークポイントから少しいったところからロープを出して攻め込む。しかしながら、雪が柔らかすぎてなかなか上にあがっていかない。なんとか支点をとるものの、体を上にあげることができない。他のルートを探してはみたものの、どこも雪の状態は変わらず断念せざるを得ないと考える。

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C2にいる土田と連絡を取り、進退の検討をする・・・・。結果、敗退を決断。
再度登ってきた応援のサーダーらも加わり、ロープ、アイススクリュー、スノーバー等を回収しながらC2に戻る。

一方、途中で下山した岩井隊長は、高熱が下がらないシェルパのパサンに同行しカトマンズに帰着。

10月12日 C2撤収。あっけない幕切れであったが、残す行動可能日は1日しかなく、撤収開始。
10月13日 C1撤収。
10月14日 BC撤収。バックキャラバン開始。

ここからがまた長い・・・。車の入れる最終地点のタプレジェンまでは約1週間の道のり。そしてそこから車で2日でやっとカトマンズの予定だったのだが、カトマンズまで行くためにチャーターした車はサスペンションが壊れてしまい、その修理に丸半日かけ、結局3日間かかりやっとカトマンズまでつくことができた。それにしても、ダライ平原のまっすぐな道路は気持ちよかった。

10月24日 カトマンズ帰着。

荷物の整理やお世話になったシェルパ達との食事会など忙しくも楽しい時間を過ごして帰国とした。

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後記
遠隔地に本隊35日間の遠征期間はまったく余裕のないものであり、ワンチャンスしかつくれなかった。
せめて、あと5日あれば、という思いも残った。しかし、ヒマラヤ初見参の若手二人が感動している姿を見て、ホッとしたのも事実である。来年は近場の6000m峰の計画が持ち上がっているが、登頂を逸したこの山には2年後くらいには再チャレンジしたいと思っている。

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