2021年2月、ついにプール下にあった山岳部の部室は、大学のプール取り壊しに伴い移転することとなった。
このプール下の部室は短くとも50年以上の時を過ごさせてもらった山岳部のOB/OG/現役にとっては思い出深い場所である。部室前のスペースは、雨が降っても濡れないので、合宿前の準備ではとても重宝した。テントを設営する十分な広さもあったし。部室の中は、あらゆる年代の先輩たちが打ち込んだリングボルトが沢山あった。部室前の壁にも沢山のリングが打たれていて、人工の練習もしていたのだ。
概ね7年に1度ほどの大掃除と棚卸しができていたため、ある程度は荷物の把握はできており廃棄も適切にしていたつもりだが、今回の撤去では、大量の中古ウェアやザックなど、デザインから想像するに10年以上前のものと思われるものが沢山でてきている。
いくつかのザックは、萩原OBからの寄贈でここに無いものはすでに山岳部のメンバーの誰かしらが今でも大事に使って山で活躍していることだろう。
伝説となっていた、呪いの装備「俺ヘルメット」。これを被って山行にいくと遭難する可能性が高くなるというものだ。ただし、「不死のヘルメット」とも呼ばれ、事故に遭っても死ぬところまではいかないという微妙な装備だ。俺。と書いたのは、当時新品で買って使っていた上辻OB。1996年のことだから2021年時点ですでに25年前のものである。
そんな呪いだか不死だか分からない装備ではあるが、捨てるのは忍びないので新たな部室で不死の効果だけを発揮し続けてくれることを期待しよう。
そして大量に蓄積された、山関連の書籍や偵察資料、計画書、報告書。偵察資料は10年前まではスクラップブックに写真を貼ってコメントを書き加えていがが、あるタイミングからWord形式でそれぞれがメールでやり取りすることとなっており、しっかりとした蓄積がなされていない。
2021年時代はクラウドではあるものの、やはりこのような半世紀を超えても価値のあるような資料は、何かしら適切な保存方法をとらなくてはならない。クラウドはそのタイミングでの共有は便利で劣化も無く好都合なのだが、数年経った後にその当時いなかったメンバー(アカウント)への共有は想定されていないので、そこがネックになり、結果的には新しい世代の誰かが開き目にする機会をつくることができない。
そうだ、ヤマレコやYamapといったインターネット上の山行アーカイブも、シェアしたり他人の記録を見せてもらうのには便利だが、30年後に身近な誰かが見ることはほとんど無いだろう。他方、100年後であろうとそこに興味を持ってくれた人は、サービスが続いている限り劣化していない情報を見れることはとても価値があると思う。
とすると、ヤマレコやYamapが1年に1度もしくは、10記録程度をトリガーとして、簡易印刷された本の形式で10冊くらい送ってくれるとかするとおもしろいかもしれないな。
話がそれたが、半世紀50年以上の時を経た部室はこれでお別れとなり、これからはあたしい部室が山岳部集いの場となる。まずは荷物の移動だけがなされただけなので、これから整理をしないとならない・・・。
新部室は、7号館410号室。大学正門を入って左手にあるビルの4階だが、もちろんエレベータは無い!