横岳西壁 中山尾根 2002年12月7日

横岳西壁 中山尾根 2002年12月7日
‥村上、上辻、伊東、米澤
八ヶ岳でのアイゼントレーニングとロープワークの確認をこめて中山尾根にチャレンジ。冬の登攀中級くらいといわれるルート。今回は、記録を小説風にまとめてみました。

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■記録
■目次
第1章:深夜発
第2章:アプローチ
第3章:登攀
第4章:6年ぶりの再会
第5章:南沢・北沢
第6章:遭難?
第7章:大盛り
第8章:12時10分終電
第1章:深夜発
今回は冬合宿のフルメンバーでのトレーニング。ちょいと気合を入れて集合場所の宮前平に向かう。11:30pm に集合予定だったが、伊東の仕事が終わらず、駅で2人を拾ってからガストで時間をつぶしてから伊東を拾いに行く。伊東と合流できたのはすでに12:30pm。美濃戸ですこし寝れるかなぁとおもってたが多分むりそう。中央高速 調布ICから一気に小淵沢を目指す。眠い目をこすりながら高速を進むが相変わらず皆無口。無言の催眠術のようで、これがよく効く。全く渋滞無しで美濃戸山荘まで到着。当然雪もなし。雪がついているかちょっと不安になった。パジェロでの入山は迷うことなく美濃戸口まで突入。でも、雪が全然積もっていなかったので乗用車でも余裕で入れた。美濃戸口3:30到着。このまま出発しようと思ったが、あまりの眠気に負けて、5:00発とさせてもらって仮眠。横になることもできず座ったまま一瞬だけ気絶する。あっという間に出発の時刻。
第2章:アプローチ
美濃戸口から中山乗越しまで約3時間。8時過ぎに取り付きにつくが、この行程中に伊東が歩きながらお昼寝。歩いている記憶が残っていないそうな。取り付きにつくと、すでに1パーティ(3人)が取っ付いていてその間に準備を進める。天気は曇りながら、風がちょっと生暖かい。ヨネ以外の3人は中山尾根は2回目、3回目と初登ではないので結構お気楽に構えていた。。やっぱ冬壁は舐めちゃ-いけません。

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第3章:登攀
なれないアイゼンでいきなり3級ののぼり。伊東がリードしたが結構てこずる。今回のオーダーは、伊東ー上辻ーヨネー村上。伊東がリードしたのちに、上辻、ヨネが同時登攀。ヨネが登りきったら村上がフォローしてその間に伊東が次をリード。北鎌ではこのオーダーで行く予定なので、練習練習。全員おっかなびっくりで1P完登。ここだけで、1時間30分くらいかかったかな。2Pで出しはちょいといやらしい。岩に氷が張り付いていてホールドがない。伊東がギブアップとのことなので、村上に交代してこえた。上部岩壁までは気持ちのあんまりよくない雪稜。雪の状態も安定していたので一気に越えた。上部岩壁出足は4級の凹角越えとなり、この頃から冷たい風が吹き始める。寒い。4人パーティはそれぞれが動かない時間が長いのですぐに体が冷えてしまう。4人ともほぼ問題なく核心を越えたがこの1Pを越えるのにまたまた1時間以上かかっている。フォローが時間を短縮するようにしなくちゃーいけない。ここからちょっと不安定な岩壁を3Pで終了点に到着。雪も降り始め風もつよくなりマツゲが凍る。久しぶりに冬の稜線上の強風を味わいつつ、登攀具を片付ける。さあ、一気に地蔵尾根から下山だ。時計の針はすでに14時を回っている。美濃戸口につくのは17時頃だろうな。登攀中は問題なかったのだが上辻がなんだか具合がわるそう。地蔵尾根までの稜線歩きですぐに遅れを取っている。どうしたんだ?

第4章:6年ぶりの再会
降りたての雪を踏みしめながら地蔵尾根を下降。数年まえとすこしルートの取り方が違うような気がする。時間と共にルートは微妙に変化してるんだな。中山尾根だって、アイゼンで削られつづけたためにスタンスが綺麗なアイゼンの前2本歯の形にえぐれてた。スタンス明瞭。人工壁みたい。樹林帯に入ったところで一本いれる。風も当らず中山尾根も見えるのでいいレストポイント。後からきた4人組みのパーティに挨拶。彼らもここで一本。ちょいと話してみると、どうやら群馬の太田山岳会のご一行で、こちらが青学ということを告げると、「6年前に谷川の南稜で事故があったろ?」とたずねられる。まぁ、青学というとよくその事故のことを聞かれるので「へぇ。」と答えるとなんとそのおじ様は「あの時足折ってた奴いたろ?あいつを担いでやったのは俺なんだぞ。あと、もう一人は頭打ってたろ!」と。。。実はそのときの2人が我々なんです。その節は大変お世話になりました。感謝の意をつたえ、次回は群馬にのみに行くことを約束した。町田さんという方で今日は行者小屋に泊まるらしく、こちらが日帰りだということを伝えると、ちょっと残念そうだった。こちらとしてもとっても残念。上辻はいよいよ体調がよくないらしく、「一人でゆっくりと先に下りる」と言い残し、美濃戸口を合流のポイントと約束し下山していった。これが後で飛んでもないことになることは誰も予想できなかった。

第5章:南沢・北沢
行者小屋についたのが、16:00。中山乗越しの登りで鉱泉経由か、それとも、ちょっと長い南沢か悩んで結局南沢にする。途中で暗くなり始めたためにヘッ電をつけて足をすすめ、18:00に美濃戸口に到着。上辻を追い抜くことがなかったので、恐らく鉱泉経由で下山したんだろう。まぁ、あと30分もすれば下りてくるさと気軽な気持ちでまっていた。雪がパラパラと降ってはいるが、鉱泉からならば事故るポイントもないので安心。。ってことはない・・・・。

第6章:遭難?
19時を回っても上辻が下りてこない。当然あたりは真っ暗で下りてくる人もほとんどいない。さすがに鉱泉から3時間はかかりすぎと思い、どっかで倒れているかそれとも鉱泉で我々3人が来るのを待っているのか、いずれにしてもメンバーが別れてしまっていることが心配だ。登り返して迎えに行くにしても、すでに16時間も行動している3人には体力もなく鉱泉まで3時間はつらい。伊東に残ってもらい、鉱泉・美濃戸山荘・行者小屋に電話連絡をとってもらい、上辻らしき人間がいなかったか確認をとってもらう間に、山荘から先へ捜索にいくことにする。 途中、下山するパーティに上辻をみなかったか聞いたところ、黄色いヤッケを着て、鍋?をぶら下げた1人が鉱泉に向かって北沢と南沢の合流地点辺りを歩いていたとの情報を得る。それじゃぁ、上辻じゃぁないと考えて先に進む。 小屋の辺りでヨネと手分けしてそれぞれが探しにいく。しばらくして遠くのほうから、2つのヘッ電のライトが見えてヨネが上辻と合流できたことを悟る。どうやら、先に聞いた情報は上辻だったらしく、本当に登り返していたらしい。本人曰く、意識が朦朧として気が付いたら登り返していたとのこと。どんなルートであれ、やっぱメンバーが散ってしまうのは正しくない。単なる一般ルートだからといっても心配なものは心配だし、万が一のことってのは予想の範囲を越えてるもんだからな。

第7章:大盛り
上辻と合流できたことでなにより安心した。すでに20時を過ぎていて、温泉につかれないかも知れないとドキドキしたが、八ヶ岳の鹿の湯というところは21時40分まで営業していてゆっくりと体を休める。途中でおいしいご飯を食べたかったが、小淵沢までは店がないし、もう21時を回っているので結局双葉SAで軽い晩御飯のはずだった。が、本来メニューに無い「大盛り」をお願いしたところ、「じゃぁ、気持ち大盛りにしてあげる」と快諾していただいた。さて、大盛りにしたメニューは、伊東:すき焼き丼 村上:カツカレー その挑戦的な大盛りの具合はこれまで見たなかでも群を抜いており、すき焼き丼は、具がすべて器の上に大きく張り出している。さながら、すき焼きドームといったところ。そして、焼き豆腐が大きく二つ乗っかり、まるで箸を差し込むの拒否しているかのよう。さすがにカツカレーはカレーが上にはみ出ることはむりだから大丈夫だろうと踏んでいたが、現実はそんなに甘くはなかった。丸い器の3/4にたっぷりと盛り上げられた白米、その上に聳え立つカツ。そしてご飯の量にしてはすこし少ないカレールー。我々2人に勝負を挑んでいるとしか思えない量に圧倒されながらも、見事完食。勝負にかって胃袋が負けたといった感じ。二度と大盛りとは言えません。

第8章:12時10分終電
町田に泊まっている上辻の宿泊先まではとてもじゃないが送れる体力がない。だって、すでに40時間くらい起きている。ということは、12時10分 の向丘遊園の最終電車に間に合わせなくてはならない。双葉SAを出たのは20:10頃。果たして間に合うのか?とドキドキしながら無事目標6分前に到着。この間3人とも熟睡。大盛りのカツカレーが功を奏し、気持ち悪くて眠気がすっとんでた。この後、伊東を家まで送り届け12:30に伊東家着。ちょうど出発してから24時間。さらにここから30分走って横浜の自宅に。ホントーに長い1日がやっと終わりました。

(文責:むら)

 

中山尾根取り付きの第1ピッチ。伊東がリードして上辻がフォロー中。4年ぶりくらいにアイゼンで登ったためおっかなびっくり。やたらとはしゃぎながら登っていました。やっぱ久しぶりにアイゼン使うときはしっかり事前にトレーニングしとかなきゃだめだなと再認識させられたそうな。

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