個人山行 飯豊山

期間:7/20~21
場所:飯豊山
メンバー:田口OB、池田4年

東京を金曜の19時に出発し2人で交代しながら運転して弥平四郎登山口に26時到着。

翌20日は起きると窓ガラスにはいっぱいの水滴が付いていて気分は憂鬱。

コンビニで買ったパンをお腹に入れて、7時入山。

疣岩山までの登りは落ちないように意識する箇所がいくつか。足を置くスペースが小さい道であった。

梅雨前線の雨に打たれる。

周りの土地より窪んだ道は川となり、靴はピチャピチャ音を立てていた。出発から3時間で木々を抜け疣岩山と三国小屋の間くらいにいた。

本山小屋まで行く予定だったが、あまりの雨に切合小屋に泊まることが種蒔山手前で合意された。

切合小屋に着くと、良く今日は上がってきたね。と小屋主に言われた。最近は雨雲レーダーを見て天気悪かったらやめちゃうもんねー。と労いの言葉をいただく。ずぶ濡れの体が少し乾いた気がした。

今日はワンゲルの団体さんからキャンセルの電話あったよーと周りを見渡すと熟年っぽい登山者が6名ほどで、二階建ての小屋内は閑散としていた。

気付くと屋根から雨を打つ音だけが響き、吊るされた雨具から滴り落ちる水滴を追っていた。

何度も扉を開けては外の様子をうかがい、切合小屋に着いて2時間後の15時にようやくテントを貼り終えた。自分のマットの上で足を伸ばしたことでこの日1番の安らぎを感じていた。

この日の晩飯はラタトゥイユリゾット。

ラタトゥイユとはイタリアの市民料理である。

玉ねぎ、ズッキーニ、ピーマン、などをトマトで炒め煮する。

味付けは塩胡椒。

そこにリゾットがくっつくので白米にだし汁を吸わせ一緒に炒め煮する。はずだった。

去年の夏合宿でも鯖リゾットたるものを作ったが散散たる味を披露し、経験のない料理を山で作るのは厳禁だと部内で反省していた。あれから1年が経とうとしていた。だがその過ちをここで繰り返す。

野菜の旨味を生かしたリゾット!!というフレーズを池田は登山中に口ずさんでは晩御飯を楽しみにしていた。だが出来上がったのは野菜と白米のトマト炒め。全くリゾットにならなかった。野菜の出る水と500gのトマト缶でお米をリゾットにする計画がおかしかった。本来は野菜をオリーブオイルとニンニクで炒め、コンソメかブイヨンのスープでリゾットに仕立て上げるのが正解だった。幸運なことに玉ねぎスープの元を持っていたので、それを入れては水を足し何とかお米をリゾットに近づける処置をとった。3日前のTV番組カンブリア宮殿でOBの萩原さんが山と渓谷社の編集者として山飯の紹介をしていた。そこで紹介していた料理のクオリティと目の前の料理とではえらい違いである。だが失敗は成功の元。自分の作った料理がTVで紹介される日がくることなんて萩原さんも学生の頃は考えてはいなかったはずだ。

雨が止んだ6時過ぎ、翌日の起床時間を確認しお互い何かを語るでもなく寝る。

翌日2時過ぎに起床するとポツリポツリとテントを叩く音がしていた。雨の予報はなかったので気にせず朝食のパスタを作る。

この日の3時半の景色は雲が星を隠しているのに稜線が空に黒く映し出されていた。前日にびしょ濡れとなったズボンを諦め、半ズボンを履いていた池田はテントを出ても寒くはなさそうだった。出発してすぐに彼が買ったばかりである400ルーメンのヘッドライトは虫達を異様に呼び寄せていた。そんな虫達の住処を抜ける頃ちょうど空が明るくなってきて、うっすら見えていた福島の夜景が田んぼの緑で囲まれていたのが分かった。草履塚、姥権現を抜け、飯豊山への最後登りに差し掛かるとコースタイムより早く着きそうであった。標高も1800mで涼しくもなく汗が吹き出していた。だが雰囲気は北アルプスさながらの稜線で気持ち良い。先週行った常念岳を思い出すと池田は言っていた。切合小屋を出て2時間で頂上に着いた。

そこには佐渡島、蔵王山、磐梯山と360度の景色が広がる。大日岳周辺の残雪が印象的で綿雲みたいに空と一体化していた。反対の庄内平野には雲海が広がっていて、人一倍雲海好きな池田は感無量の面持ちであった。山の眺めを楽しんでいて、ふと時計を見るとその経過時間にいつも驚かさせれる。誰に言われるでもなく下山を5時半に開始していた。飯豊本山小屋に戻ると、ザックを並べて準備体操をしている人たちがいた。

そこも眼下に広がる福島の盆地まで駆け下りれそうな爽快な場所だった。

帰りも順調なペースで進み、頂上から1時間で

少しヒヤヒヤする雪渓を通過した。

後輩には軽アイゼンが必要だ!と冷静に語る池田がいた。雪の平らな面に足を置きつつ遠くの方を見た。すると切合小屋のすぐ脇に赤と黒色のテントがポツンと1つだけ見えた。そこに着くと濡れていた外張りも乾いていて、片付けに時間はかからなかった。7時過ぎには切合小屋を出発していた。ところどころ狭かったり、足場の少ないところを気おつけておりた。疣岩山からの下りも登りと同じルートで行き、落ち葉がまだ湿っていて転ぶことがあってもおかしくはなかった。11時過ぎに弥平四郎登山口に到着し、近くの看板に書いてあった最寄りの温泉ロータスインを目指した。それがここから25キロ先にあるのは車のナビですぐ分かった。

部活として長野や山梨などの山に行く機会が多い。標高が高かったり難易度のより高いルートを目指す上で北アルプスなどは最適である。でもそれがそこでしか鍛えられないかと言われればそうではないと感じた。登山の基本はどこの山でも変わらないと思う。無事安全に帰れたこと。事前の準備が大切なことを振りかえれたこと。良い山行だった。

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